朝日新聞「声」 1999年 8月29日(日)朝刊に掲載

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トルコの人々笑顔戻るよう

 

 私たち夫婦は11日の皆既日食を見るためトルコを訪れ、たまたま地震発生の半日前にイスタンブールを飛び立ち、帰国した。

 出発前に得たトルコの情報としては、治安は悪いというものだったが、実際のトルコは違っていた。トルコで出会った人たちは親切であたたかく、親日家だった。街では「ジャポン、ジャポン」と親しみを込めて声をかけられ、言葉は通じなかったが、にこやかに身ぶり手ぶりを交えて意志を通いあわせることができた。仲間のひとりがけがをした時には、病院をあげての治療が行われ、外国からのお客さまに失礼があってはいけないと、繰り返し丁寧な検査をしてくれた。また、物売りをして働いている子供を見かけたが、街でも農村でも、子供の表情は明るく、この国の未来を象徴するかのようだった。

 そこへ、大地震の悲報。トルコの夏は暑く、日中は40度を超える。そこへ石造りやれんが造りの建物から照り返す熱が加わると気温はさらに上がり、容赦なく体の水分を奪っていく。あの人たちはどうしているだろう。水が足りないだろうに、のどが渇いていまいか。

 せめてもの祈りをこめて義援金を送った。心優しいトルコの人たちに、再びあの笑顔が戻ることを、切に願ってやまない。

※8/22投稿

ちなみに朝日新聞検閲前

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