天文台マダム日記
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初鴬

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 初鴬

 

 2003年4月20日、朝ウグイスの声で目が覚めた。今年はじめてのウグイスだ。

「ホ〜ーーーーーーーーー ホケキョ!」

 今日は朝から一日雨との天気予報で、たったいま小雨が降り出したところ。雨雲でどんより重暗い空とあたり一面を新緑に囲まれた景色のなかで聴くウグイスの声は、朝の澄んだ空気と天然のエコーがいっそう雰囲気をもり立てて神秘的ですらある。

「ホ〜ーーーーーーーーー ホケキョ♪」

 しかも、たいへんお見事。 

「ここは桃源郷かしら?」 #ここはトレンディ官舎である。

 毎年この時期にはウグイスがやってきて、家の中にいてもあの鳴き声を聞くことができる。いつだったか、私が台所の窓から

「ほーーーほけきょ♪」

 と口笛でまねしたら、ウグイスが

「ホーーーーー ホケキョ♪」

 と返事をしてくれて、嬉しかったことを憶えている。

 ウグイスは最初から上手に鳴けるのではなく、練習するうちに鳴けるようになるのだとか。これまで私も色々な練習パターンを聞いた。

 

「ホ〜ホケキョッ、ホ〜ホケキョッ」

 ホ〜〜の間隔が短いもの。

 

「・・・・・・・ホケキョッ! ・・・・・・・ホケキョッ!」

 ホ〜〜がないもの。

 

「ケキョケキョケキョケキョ.....ケッキョ!」

 元気がよいときの声らしい。

 

「ホ〜〜〜〜 ホケッ!」

「ホ〜〜〜〜ーーーーーーー ホケホゲッ!

 おあとがよろしくないもの。

 

「ホーーーーーー、ホーーーーーーー、ホーーーーーーー ホGYDンS@BッV!!!」

 中途半端なくしゃみのようなもの。

 これら練習パターンを聞いていると思わず力が抜けてしまうこともあるのだが....。(笑)なにぶんウグイスたちも伴侶をgetするため必死で修業しているのであろう。いつか素敵に鳴けるようになってカワイイ奥様をめとれるよう、心の中でエールを送るとしよう。がんばってね

 それにしても今日のウグイスは本当に素晴らしい。初ウグイスがこれほど見事なことは初めてだ。これがもしクラシックコンサートならスタンディングオベーションである。せっかくだからビデオに記録しようと思った矢先、

 

「カァッ、カァッ、カァッ、カァッ、カァッ」

 

 無礼者のカラスがきてウグイスは逃げてしまった。あーあ、せっかく鳴いていたのに。

 ここでもカラスは嫌われ者だ。

 

 

おまけ
長野県に初鴬というお酒があるのでございます。

  


ここはトトロの森

 

 「となりのトトロ」を知っていますか? (となりのトトロを知らない方へ → スタジオジブリのホームページはこちら

 宮崎駿監督、スタジオジブリ制作の有名なアニメーション映画で、1988年の公開から10年以上たった今でも、子供たちを中心に愛されつづけている素晴らしい作品だ。

 独身のころは好んでこうした作品を見ることはなかったのだが、子供が生まれてからは自然とジブリ作品を見る機会が増えた。「トトロ」との出会いも、そんな何気ない子育てのひとコマだったのだが、はじめてこの作品を見たときは本当におどろいた。

 アニメのなかの風景が、天文台官舎周辺の景色に酷似しているのである。

 何度も書いてきたように、ここ三鷹キャンパスの中は今なお武蔵野原野の面影を残しており、とくに私が住んでいる天文台官舎のあたりは、家並みといい、家々を囲む垣根、ガタガタ道にいたるまで、まるで昭和30年代にタイムスリップしたようなところなのだ。

2003.2.4撮影
2002.2.18撮影
2002.2.18撮影

 きわめつけは主人公たちが住んでいる、草ぼうぼうの庭に立つ一軒家である。そう、サツキとメイが言う「お化け屋敷」のことだ。天文台官舎は建てられた年代がまちまちで、家の形式もそれぞれによって異なるのだが、大正時代〜昭和初期に建てられた官舎を見ると、この「お化け屋敷」の造りにだいぶ近い。

 家の内装も大変よく似ている。まぁ天文台官舎は平屋なので屋根裏部屋がないという点をのぞけば、板張りの外壁、トタンの雨どい、木の雨戸にガラス戸、しっくいの壁、障子、ふすま、表廊下に裏廊下、玄関につづく敷石...等々。 柱の下部が腐っているあたりも、私がここへ引っ越してきた時のエピソード平成の大修理を参照を思い出す。ひょっとすると、わが家にも「まっくろくろすけ」が隠れていたかもしれない。

 そしてトトロが住んでいる背の高〜いクスの木。天文台官舎は外からの明かりを遮光する雑木林のなかにあるので、樹木には事欠かない。ウチの前にも背の高〜い大きな木があって(クスの木ではないが)、上部には鳥が巣を作っている。街灯がないので、夜になると真っ暗になってちょっぴり怖い、なんていうところも同じ。なにより、豊かな自然と四季をふんだんに感じられることが、トトロの世界との一番の共通点だ。

 なので私たち家族は、ここをトトロの森と呼んでいる。

 わが家の子供たちは、トトロの森に住んでいるんだぞ、と大喜び。アニメと同じようにどんぐりを拾い集めては、

「森になれ〜!」

 といって庭にまいていた。この庭だけ、30年後には雑木林になっているかもしれない。

 ウチの官舎は、書類を見ると昭和26年築と記されている。昭和30年代頃はまだ新築のにおいがする、新しくてモダンな建物だったことだろう。(そうなのカ?)

 当時はどんな姿だったのだろう。きっと天文台の敷地の外にも、似たようなつくりの家々が軒を並べていたはずだ。天文台の昔の写真を見ると、ドームのまわりの林はまだ背が低く、あたりはもっと開けていて、田園風景が広がる武蔵野台地を見渡すことができる。

「となりのトトロ」の舞台になったのは、昭和30年代初期の所沢だという。狭山丘陵は武蔵野台地なのだ。

 私がもっとも好きなシーンは、「まっくろくろすけ」たちが大クスの木へ引っ越していくところだ。そのとき「風の散歩道」というBGMが流れるのだが、これがまた、たまらなくいいんだな。このシーンを見るたびに胸の奥がキュッとなってしまうのは、どうしてかな。

 

 官舎だから、いつかはここを出ていく日がやってくる。引っ越し先でも新しい家や環境になじんで、きっと楽しく暮らしているだろう。

 けれど、私は忘れない。

 この家でスタートした新婚生活、赤ちゃんと過ごした穏やかな日々、やわらかな光につつまれて眠った昼下がり、新米ママとして奮闘したあの頃、毎日のお散歩、はじめてのあんよ、探検してまわった雑木林、子供たちの成長、走りまわる無邪気な笑い声...。

 天文台のトトロの森に抱かれて、新たな家族の歴史を刻んだことを。

 

 だから、いつか再び「となりのトトロ」に出会ったら、「風の散歩道」を耳にしてしまったら...。

 私はきっと、泣いてしまうにちがいない。

 


ネコバスを見た!

 

 それは、2001年11月19日未明の出来事だった。

 夫とともに「しし座流星群」を眺めていた私が、すやすや寝息をたてる子供たちの様子を見にベッドへ戻ったときのことである。

「コンコンコンコンコン!(叩)」

 表で流れ星を見ていた夫が、寝室の窓をたたく。

 私 「どうしたの?」

 夫 「ネコバス!ネコバス!」

 夫が指さす先は、家の上を横切っている電線。その電線の上を、チョロッ、チョロチョロッ、としっぽを動かしながら渡っていく猫のようなシルエットが!

「かっ、かわいいっ

 そのしぐさのかわいいこと。

 シルエットが動くたびに、私たちは小声できゃあきゃあいいながら、流れ星そっちのけで見入っていた。そうこうしている間に、ネコバスは電線を渡ってむこうへいってしまった。

 電線の上をネコが歩くものか。と思うなかれ。天文台では以前から目撃者がいて官舎でも話題にのぼっている。話によると、あれはネコではなくて、野生の「ハクビシン」なんだそうだ。(SARSが流行る前の中国だったら、捕まえて食べられてしまうのだろうか???)

 次の日、子供たちが起きてくるやいなや、私たち夫婦は自慢した。

「ふっふっふ。パパとママはねぇ、ネコバスを見たんだよ〜(かなり自慢気)

「えーっ!ずるーい。なんで起こしてくれなかったの。」

 と、子供たちがうらやましがることしきり。

 次にまたネコバスが来たら、こんどは起こしてあげるからね。

 


押し入れ掃除3部作 〜その1〜

怪奇! 土まみれになる密閉空間

 

 先日、一念発起して居間にある半畳の押し入れを掃除した。

 なぜ一念発起かというと、何をかくそう長い間、開かずの押し入れだったからである。いつから開かずになっているかというと、これは数年前に話がさかのぼる。

 ある日私が、押し入れの中身を出そうと久しぶりに襖を開けたら、押し入れ全体が土まみれになっていた。なんで??? しかしこれを掃除するためには、押し入れの中身をすべて出し、ひとつひとつ丁寧に汚れを拭きとり、押し入れの欠陥を探り当てた上で何かしら修理をしなくてはならない。となると、私にとっては到底容易な作業ではない。(要するにめんどうくさい)

 したがって、以来開けること自体がためらわれ、開かずの押し入れと化していたのである。

 それにしても、なぜ密閉された押し入れの中が土まみれになるんだろう?とにかく中に入れたもの全体が、触ることもためらわれるほど真っ黒く汚れてしまっているのだ。それもホコリではなくで。

 とにかく、一度きちんと原因を調べてみなくてはなるまい。その日、私は人払いをし、部屋にビニールシートを敷いて、まずは押し入れの中身を全部出してみた。そして苦労の末、真っ黒だった押し入れを化学ぞうきんで美しく磨き上げたあと、中板に上って内側の壁を点検してみた。

 懐中電灯で壁を照らすと...

「なっ、なんで壁に新聞が挟んであるの?」

 なんと、壁と横木との間に隙間があって、そこにはものすごく古〜い新聞紙が挟み込まれている。新聞紙は隙間に合わせて几帳面に折り畳んであり、画鋲で横木に固定されている。どうやらこれで隙間に栓をしてあるようだ。 じつはこの壁板の裏は土壁なので、隙間があると土がもれてきてしまうらしい。何代か前の住人の方が、お手入れしてくださったのだろう。素晴らしい。

 しかし、あまりにも時が経過したため、ところどころ新聞紙が外れており、その部分から土がぼろぼろ落ちて押し入れに降り注いでいたのである。

「なるほど。これが土汚れの原因だったのか。」

 私は新聞紙が外れた個所にガムテープをはり、隙間をふさいだ。

 ところで、私はまたも昭和30年代的なトレンディ情報をキャッチしてしまった。

 

 なんと、いま土壁が脚光をあびているというではないか。

 

 土壁は何でできているかというと、土と藁と水でできている。100%自然素材の、実にヘルシーな壁というわけだ。以前、NHKの番組(2003.7.29放送の生活ほっとモーニング)土壁を特集していたのを見たが、なかにはわざわざ壁紙から土壁にリフォームするお宅もあるそうで、番組ではそのリフォーム例を紹介していた。また、土壁は呼吸する壁とも言われ、多湿のときは水分を吸収し、乾燥しているときは水分を放出して湿度調整していることを示すデータも紹介された。興味深い番組であった。

 土壁の技法は、なんと1300年以上も前から伝えられているのだという。(奈良時代の左官職人さんエライ!)

 もちろんウチの官舎は土壁だらけ。リフォーム代のかからない、経済的なトレンディハウスだ。

 


押し入れ掃除3部作 〜その2〜

驚愕! 未公開ウラ写真

 

 

 押し入れ掃除にはまだ続きがある。

 押し入れの中板にのぼって上を見あげたら、天井に思いっきり隙間があいていた。よく見ると天井板がずれて、屋根板までもが露になっているではないか。これでは屋根裏から大量のホコリが降り注いでも無理はない。ようやく「土まみれになる密閉空間」の原因が解明された。

「天井板を直さなきゃ。」

 懐中電灯を片手に立ち上がった私だが、ふと、ある事を思った。

 

「… 官舎の天井裏って、どんなふうになっているんだろう。」

 

 私は、私の中で好奇心という名の悪魔がムクムクと持ち上がってくるのを感じていた。

 しかし天井板を目一杯ずらした場合でも、腕一本入れるのがやっとの隙間に顔を入れることは不可能。しかも天井裏は暗くてほとんど何も見えない。どうすれば見えるのか。

「そうだ!ビデオだ。」

 私はデジタルビデオカメラを持ってきた。デジタルビデオのCCDなら多少薄暗い場所でも明るく映せたことを思い出したのである。それにズーム機能を使えば、双眼鏡がわりにもなるではないか!

 私はさっそく、映してみた。

「すごい!土壁が丸見えだ。」 

「うわぁ、本当に泥でできてる〜。」

「竹が組んである〜。」

 しかし、近くはよく見えたものの、屋根板まで見渡すことはできなかった。

 光の射さない天井裏は、あまりにも暗かったのだ。

 そこで、懐中電灯で照らしながら映してみることにした。

 しかし、いくらズームの倍率を上げても、懐中電灯の明かりだけでは薄暗くてよくわからない。

「そうだ!デジカメなら。」

 要するにフラッシュ撮影をすればいいのだ。私は今度はデジカメを持ってきた。

 こんな事をしながら作業をしていたのでは、掃除がはかどるはずもない。そんな事はわかりきっている!しかし、すでに私の好奇心は制御不能となっていた。もう止められない。しかたがないのだ。これはもう性分なのだ。サガなのだ。そうとしかいいようがない。

 私は天井板の隙間から潜望鏡のごとく手を差し出し、シャッターを押してみた。

 パシャッ!

 暗い屋根裏にフラッシュの閃光がまたたき、デジカメの画面には明るく照らし出した天井板が写っていた。

「やったっ!バッチリだ。」

 いまは便利なものがある。直接、自分の目では見られなくても、カメラのレンズが私になりかわって見せてくれる。

 私はふたたび外惑星へ送り込んだ探査機になったつもりで隙間に手を差し入れ、さまざまな角度で四方八方を撮影したのであった。

〜 天文台官舎の天井ウラ写真大公開 〜

って、こんな写真おそらく本邦初公開では...

屋根板というのは案外汚れないものらしい。
天井板の上には積年のホコリが...。

天井板には「^甲」の文字が!甲乙丙の甲?山甲?最高級の材木をつかっているという証なのか?それとも単なる会社の名前?<求む情報。

居間の上はこうなっていたのか...
土壁と竹組
屋根板(側面)
屋根の頂
屋根板

 柱が、太い。(あまり大きな声では言えないが、ここらへんで5,000万円くらいで売ってる建売より太いんじゃないだろうか。)

 なるほど、部屋の中で目にする柱というのは壁と一体になっているから、なかなか柱そのものの太さを実感しにくかったのだが、こうして見るとなかなかのものである。

 梁もしっかりしている。私は全くド素人なので建築についてはコメントしがたいのだが、見たところ手抜き工事の気配などは感じられない。予想以上にしっかりした材料で、しっかりと造られていたことが嬉しかった。

 外観がボロだとか、住宅の密閉性が昭和30年代的だとか好き放題書いてきたが、肝心かなめの住宅の核になる部分は頑丈だったのだ。


押し入れ掃除3部作 〜その3〜

ミッション・インポッシブル

 

 押し入れ掃除はまだ続いていた。

「何だろう、この方眼紙?」

 よせばいいのに、天井の節穴から1mm方眼紙の目盛りが見えているのを発見してしまった。

「屋根裏に設計図でも置き忘れたのかな?」

 そのあたりの写真を撮ってみると、なにやら古い紙のようなものが写っている。

「あの紙には何が書かれているんだろう?」「いつ頃の年代のものだろう?」

「切れ端でいいから、手がかりになるものを取ってこられないかな。」

 この位置なら、無理して手をのばせば取れそうな感じだ。私は踏み台を取りにいった。

 おそらく夫がこのページを見たら「おマエ、いったい何やってたんだ?」とあきれ果てるにちがいない。しかし、しかしである。もしもアナタの目の前に「ひとつの謎」があったとしたら?あと少し手間をかければ解るかもしれないとしたら?「また今度にすればいい」の「今度」なんて、結局いつになるかわからないとしたら?

 やるしかない。

 私の胸は高鳴った。たとえ、あとで夫に叱られようとも、いま、この機を逃すわけにはいかないのだ!

 私は右手にビニール手袋をはめ、ホコリまみれになる覚悟で踏み台に昇った。そして宇宙科学研究所が打ち上げた探査機「はやぶさ」になったつもりで小惑星に・・・ではなく、天井裏にぐいっと腕をのばした。

 おっ重いっ?石のようなものが乗っていて動かせないっ。

 あの方眼紙は単に穴をふさぐためのものだったらしい。石は方眼紙を押さえるための「重し」だと考えられる。せっかく絶妙なバランスで乗っているものを下手に動かすのは危険だ。もし方眼紙が破れたり天井が崩れたりしたら、せっかく掃除した押し入れが再起不能になってしまう。いくらなんでも、それはマズイ。残念だが、このサンプル・リターン計画は断念することにした。

 しかし、私は満足だった。もう押し入れに悔いはない。

 

 このように、ドラマティックな一部始終を経て、白熱した押し入れ掃除は終わった。長い一日であった。真っ黒だった押し入れは、ダスキンでピカピカに磨かれ、美しく生まれ変わった。

 いま、この押し入れは襖を取り外し、オープン収納スペースになっている。

 それにしても、押し入れ掃除がこんなにもスリリングで、知的探求心をかきたてられるものだとは。もしも誰かに押し入れ掃除の真髄を問われたりしたら、

宇宙探査をするようなものだ。

 とお答えしたい。

 

MUSES−Cミッションの成功をお祈りしています。 

もちろん、「星の王子様に会いに行きませんか」ミリオン・キャンペ−ンにも応募しましたヨ。


当方の三博士

 

 クリスマスシーズン、いかがお過ごしでしょうか。

「アドベント」といえば、ひと昔前の仮面ライダーが変身する時のモードだと思っていた私だが、最近になってようやく正しいクリスマスの迎え方を知った。

 クリスマスには、わが家の子どもも「ページェント」というキリスト降誕劇を演じるのだが、そのなかにマギと呼ばれる東方の三博士が星に導かれ、幼な子イエスのもとを来訪し、イエスを神の子として崇め、贈り物(黄金、乳香、没薬)を贈った、というくだりがある。

 この部分を子供向けにどう、わかりやすく伝えているのだろうかと思い、聞いてみたら「星の研究をしていた博士が、星に導かれてやってくる」という筋立てになっていた。

「ねぇ、星の研究をしている博士なら、ここにたくさんいるよぉ〜。」

 と、私が口走ったところ、冷静な顔で

「知ってるよ。」

 と片づけられてしまった。

 このやりとり、なんか夫に似ているなぁ...。

 

 ちなみに国立天文台にはどんな博士がいるのか調べてみたら、理学博士 工学博士 教育学博士 が当方の三博士であることがわかった。

 学問の性質上、理学博士の比率がきわめて高く、全体の9割以上を占めている。(※「学術博士(理学)」のパターンも含む) 国立天文台は博士だらけなのだ。

 博士といえど、見た目は普通の人である。それなのに、子供番組にでてくるステレオタイプの博士像のせいで、今だに よれよれの白衣を着用し、丸い黒縁眼鏡をかけていて、白髪頭をバクハツさせた、アラーキーと和田勉を足して2で割ったような人 のことを博士だと思っている子供が多いので注意が必要だ。

  

 こんな感じ

 夫いわく、博士号はこの世界の「パスポートのようなもの」だという。しかし中には、あまりにも優秀なため、博士号を取得する以前からプロとして活躍なさっている方もいらっしゃるので、パスポートという比喩がすべての研究者にあてはまるわけではなさそうだ。しかし、みなさんおそろしく頭がいいことはまちがいない。私はもう無理だが、子供たちには、ぜひともあやかりたいものである。

 

クリスマスリースを作りました

作り方:モミの木を人さし指の長さくらいにカットし、方向をそろえたえらリースの枠にテグスで巻いて固定していきます。 


 キツツキと飛行機と静寂の森

調布飛行場の管制室から見た天文台

(画面中央のこんもりした森の部分です)

 

「コンコンコンコンコンコンコンコン、コンコンコンコンコンコンコンコン、・・・・・」

 今日もいそがしく、キツツキの音が聞こえる。冬場の空気には雑音が少ない。とくに12月〜1月は空気が乾いていて、風がない。こんな日には、近くにある調布飛行場で離発着する飛行機のプロペラ音がよく聞こえてくる。

「コンコンコンコンコンコンコンコン・・・・・」

「ブロロロロ...」

 ・・・(数分経過)

「コンコンコンコンコンコンコンコン・・・・・」

 ・・・(数分経過)

「ブロロロロ...」

 こんな音が交互に聞こえる毎日を過ごしていると、今更ながら、天文台が東京の喧騒と切り離されていることをしみじみ実感する。天文台の約500メートル北側には、片側3車線・道幅30メートルの東八道路があるのだが、この道路の近くへ行くと車の音にかき消されてプロペラ音さえ聞こえない。キツツキとプロペラの音がこれほどクリアに聞こえるのは、ここが静寂の森だからこそなのだ。

 調布飛行場は、国立天文台から650メートルほど離れた場所にある。東京都が管理する小型機専用の飛行場で、ここから伊豆大島、新島、神津島への旅客機も飛んでいる。

 地図を見ると、飛行場の滑走路は南北方向に伸びており、天文台は飛行場のすぐ西側に位置している。したがって滑走路に進入する飛行機が天文台の真上を飛ぶことはないらしいが、上空を通りすぎる飛行機とちがって離着陸の音は、下から上に、上から下にと縦方向にドップラー効果がかかるので、すぐわかる。

 今では、毎日決まった時刻に聞こえてくる定期便のプロペラ音にすっかり馴染んでしまった。とくに、忙しい朝夕は時計がわりになるので、便利に利用させていただいている。

 

時計がわりの時刻表はこちら(2004年2月1日改訂版)

調布飛行場にまつわるエピソードは調布飛行場の友にて

 


さよならトトロの森

 

 夫の転勤が決まった。新たな勤務地は野辺山宇宙電波観測所。電波天文学者の夫にとっては、観測のたびに訪れていた馴染みの深い場所であり、ついでに言うと、私たち夫婦がはじめて出会った思い出の(因縁の?)場所でもある。

 というわけで、野辺山へ引っ越すことになった。とうとう、この官舎を去るときが来たのだ。

 すでにマスコミ等で紹介されてご存知の方もいらっしゃるかもしれないが、文部科学省国立天文台は、平成16年4月からは国の組織ではなく、JAXAのような法人組織となる。この法人化に伴い、わが家の生活もさまざまな影響をうける。

 法人化に伴い、ここ三鷹キャンパスにある天文台官舎は平成16年度末をもって、すべての家屋が建て壊されることになった。

 この決定がなされたのは、じつは数年前に遡る。すでに大半の住民が引っ越していったので、わが家の周りは、とうとう無人になってしまった。

 いつしか子供たちの声も遠のいていった。朝夕、登下校の時間に聞いていた小学生たちの声が聞こえないのはさびしい。ガラン堂になった森に、トトロの気配は感じられない。トトロは子供たちを追いかけて、どこか他の場所へ引っ越していったのかもしれない。

 すでに空き家となっている建物は平成16年度を待たず、早くも解体工事が行われている。昨年12月に9棟の建物が壊され、現在さらに9棟を解体している。ここ数ヶ月であっという間に大多数の官舎が消滅してしまった。今日も庭木を伐採するチェーンソーや官舎を解体する重機の音が響いていて、私は思わず窓を閉めてしまう。正直、私にとってはつらい音なのだ。

 しかし、私は決して反対しているのではない。

 人が住んでいるからこそ、文化が存続し、意味があると思う。文化の主役は人なのだ。文化が消滅してしまったのに荒れた建物だけが残ったって、なんの意味があるというのか。

 ならばいっそ、いさぎよく跡形も無くなってしまった方がよいのだ。

 

 思い出の文化が消えてしまうのはつらい。しかし、これから先、新天地で新たな文化をつくることで、私は乗り越えたいと思う。

 さよなら、大好きな天文台官舎。さよなら、トトロの森。

 ここに住まわせてくださってありがとう。胸いっぱいの幸せな思い出をありがとう。トトロの森と天文台に深い深い感謝をこめて、三鷹での天文台マダム日記を終わりたいと思います。

 

 ご愛読いただき、ありがとうございました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

次回更新予告:天文台マダム日記 野辺山編 

2004年4月スタート予定!

 これから お引っ越しの準備デス

 


 というわけで

 天文台マダム日記野辺山編へつづく 天文台マダム日記番外編も読んでみる 

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